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採用コラム

採用コンセプトダイアグラムで「求職者視点」を実現――マーケティング・広報の思考法で採用戦略をアップデートvol.1

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採用コンセプトダイアグラムで「求職者視点」を実現――マーケティング・広報の思考法で採用戦略をアップデートvol.1

2021.04.08

自社メディアを通して企業情報を求職者へ届けるオウンドメディアリクルーティングが、人材採用競争を勝ち抜くために不可欠となっている昨今。特に、採用の情報発信のデジタル化が進むなかでは、オウンドメディアリクルーティングにマーケティングや広報で培われたメソッドを取り入れて、採用戦略をアップデートすることが欠かせません。

本連載では、デジタルマーケティングを軸に多様な事業を展開するナイル株式会社で採用を統括する渡邉慎平氏が、マーケティングや広報の思考法を取り入れた採用戦略のアップデートについて、理論と実践の両面から紹介します。

ナイルのオウンドメディアリクルーティング施策についてはこちら

1回目は、採用戦略をアップデートする際に必須となる“きほんのき”として、求職者視点を実現するための考え方である採用コンセプトダイアグラムについて解説します。

渡邉慎平氏。ナイル株式会社 人事本部 採用グループマネージャー。慶應義塾大学卒業後、ナイル株式会社(当時ヴォラーレ株式会社)に新卒入社。300社以上のWebマーケティング支援に携わり、30名弱の組織のマネジメントを経験。2018年5月に人事へ異動し、採用と広報を担当。

「高付加価値人材」獲得のカギとなるオウンドメディアリクルーティング

まずは採用のアップデートが必須になっている社会的背景を見ていきましょう。昨今、採用を取り巻く状況は大きく変化しています。その背景には、転職エージェントや求人媒体を使わずにリファラル(社員紹介)やSNS経由で転職するなど、転職者の選職リテラシーの急激な進化が進んでいること、また副業・複業やリモートワークなど「働き方」価値観の多様化が進んでいることがあります。その結果、ますます「高付加価値人材」(自社で活躍する可能性が高い人材)の獲得が困難になっています。

特にIT・通信系の技術者の有効求人倍率は8倍以上と転職市場の需給バランスが合っておらず、どの企業もあらゆる手を尽くして採用活動に取り組んでいます。

そういった環境変化のなかで、自社の職務に必要なスキルへの適合度(スキルフィット)が高く、かつ自社の価値観との適合度(カルチャーフィット)が高い人材を採用し続けるには、企業の「自力採用力」を高めていくことが必要です。

自力採用力を高めていくうえでカギとなるのが「オウンドメディアリクルーティング」です。

  • 出会うための情報発信 : ジョブディスクリプション
  • 選ばれるための情報発信 : シェアードバリューコンテンツ

の2つを軸に情報発信を行い続けることで、高付加価値人材に「出会い」「選ばれる」企業になっていくことがカギとなります。

新しい採用手法として実践企業が増えているオウンドメディアリクルーティングについて

キャンディデイト・ジャーニーマップは「求職者視点」ではない?

採用を取り巻く環境が変化するなか、とりわけ自社で活躍する可能性が高い人材の採用に当たって、企業は「選ぶ立場」から「選ばれる立場」へ変わってきているのです。このような売り手市場においては、いかに高付加価値人材に選んでもらえるのかという視点、つまり「求職者視点」に立って、求職者が求めている情報を提供していくことが重要です。常に採用活動の根底にあるべきは「求職者」視点です。

最近だと、求職者視点に立って考える際に、いわゆるマーケティングのフレームワークであるカスタマージャーニーマップを応用した「キャンディデイト・ジャーニーマップ」を使うケースが多いと思いますが、一点注意しておくべきことがあります。

それは、このキャンディデイト・ジャーニーマップが「企業視点」になってしまっている点です。

キャンディデイト・ジャーニーマップ

上図を見ていただくとわかるとおり、求職者の立場に立って考えたつもりのはずが、最終的にその企業に入社することを前提に「企業視点」に立った一方通行のジャーニーになってしまっているのです。

コンセプトダイアグラムで「求職者視点」を実現する

「企業視点」から「求職者視点」へ、視点を切り替えるうえで使えるのがコンセプトダイアグラムというマーケティングフレームワークです。

コンセプトダイアグラム

コンセプトダイアグラムは、公式サイトの説明を引用すると、以下のように定義されています。

  • コンセプトダイアグラムはもともと、1990年代後半に米国のWebコンサルティング会社においてインフォメーションアーキテクト(IA)が標準的に活用していた方法論の一つ
  • 企業が望む顧客の変化と、それに対して企業はどうコミュニケーションすべきか、というコミュニケーションの戦略マップとして図解し整理したもの
  • 単に行動の変化を時系列でつなげるのではなく、企業が戦略に基づき、マーケティングによって狙う顧客の心理の変化を明確にしていくのがポイント

上記2つの図版を比較するとわかるように、最終的に自社へ入社することをゴールとした「企業視点」から、求職者の転職活動の成功やキャリア実現をゴールとした「求職者視点」に切り替えていくことが必要なのです。

コンセプトダイアグラムを、企業の採用活動に当てはめてみるうえでのポイントは、以下の3つになります。

  • 最終ゴールが「企業への入社」とは限らない
  • 「企業への共感」と「キャリアイメージの具体化」の2軸で考える
  • 求職者の行動ではなく、「心理状態」と「態度変容」に注目する

もちろん企業の採用活動のゴールとしては最終的に自社を「選んで」もらい、入社してもらうことになりますが、求職者の立場からすると自社以外にも魅力的な転職先の選択肢はたくさんあるはずです。

最終的に自社を選んでもらうためには、求職者が転職活動を通じて「キャリアイメージが具体化」していくなかで、いかに「自社への共感」を高めていくのかという観点が重要です。

求職者の「心理状態」と「態度変容」に応じた情報設計

コンセプトダイアグラム

  • 企業認知がない人に、知ってもらう
  • 企業認知はあるけど興味がない人に、興味関心を持ってもらう
  • 企業への興味関心はあるが転職先としては考えていない人に、転職先候補に入れてもらう
  • 数ある転職先候補のなかで、最終的に自社を選んでもらう

以上のように、どのフェーズの求職者に、どんな態度変容を促したいのかによって、必要な情報やコミュニケーションの取り方は変わります。

そこで、各フェーズにおける求職者の「心理状態」と「促したい態度変容」に着目し、どんな情報が必要か、どんなコミュニケーションを取るべきか、以下のように可視化していきます。

  • 心理状態:「現職にモヤモヤしている」「もっとキャリアップしたい」など
  • 促したい態度変容:「企業理念共感するなあ」「経験積めそう!」「こんなメンバーと働いてみたい」など

コンセプトダイアグラム

態度変容を促すための施策として、どんな施策を取るべきかリスト化していき、そのなかでも重要度の高いもの、課題感の大きいところから取り組んでいくのがおすすめです。

  • そもそも企業認知が低いので、企業認知を上げることが課題
  • 応募数は多いが、社内にはいない新規事業を作っていける人材からの応募獲得が課題
  • 応募数は多いが、内定承諾率が低いことが課題

以上のように、企業によって抱えている課題感は違うはずなので、取るべき施策や優先順位付けは変わります。

「採用が課題です」というざっくりした言葉で語るのではなく、自社の採用課題がどこにあるのかを整理・可視化するためにも、採用コンセプトダイアグラムは有用です。経営者、事業メンバー、人事の間で認識がずれていることも多いので、採用に関わる人全員でワークショップをしながら作ることで課題感を共有すれば、目線を合わせることにもつながります。

採用プロセスに施策をプロットし、キャンディデイト・ジャーニーマップを描く

キャンディデイト・ジャーニーマップ

採用コンセプトダイアグラムを作り、施策をリストアップし、優先度付けをしたら、次は“再び”キャンディデイト・ジャーニーマップの出番です。

求職者のジャーニーに合わせ、採用コンセプトダイアグラムにおいて出てきた施策を当てはめて、「認知向上」「理解促進」「応募喚起」「入社意向度アップ」など具体的な数字目標を立て、採用課題に取り組んでいけば、求職者視点に立ったキャンディデイト・ジャーニーマップを実践できます。

次回の記事では、採用コンセプトダイアグラムやキャンディデイト・ジャーニーマップで思考を整理し、採用戦略を定義したことを踏まえて、どのように「採用広報」や「採用マーケティング」を取り入れていけばいいか、具体的な採用戦術や採用施策についてお話します。

今回の記事では、

  • 高付加価値人材に「選ばれる」企業になることの重要性
  • 「選ばれる」企業になるための「企業視点」から「求職者視点」への転換
  • 「求職者視点」を実現する採用コンセプトダイアグラムの作り方

についてお話しました。

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