CASE STUDY

ゲーム会社のこだわりとゆるい正直さが生む、コロプラ流・企業文化継承計画

2020.01.10

スマートフォン向けゲームアプリ『白猫プロジェクト』『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』などの人気ゲームを提供している株式会社コロプラ。創業12年目を迎えた同社では、企業文化を社内外へブレずに浸透させることでマッチング度の高い人材の獲得を実現している。
同社は「オウンドメディアリクルーティング」の先進企業として、「Owned Media Recruiting AWARD 2019」で入賞し、審査員から「人事だけでなく現場も含めて『社内を巻き込んだ採用の進め方』が考えられており、採用サイトを通して発信する企業イメージの一貫性も意識されていて秀逸である」と評価されている。そんな採用情報発信の柱となっているのが社内外にファンを生み出し続ける採用オウンドメディア「コロプラBe-ars(べアーズ)」だ。
取締役CFO兼CHROの原井義昭氏とHR本部人事部ベアーズグループ「コロプラBe-ars」編集長の多家文葉氏に採用活動の方針と情報発信のスタンスについて聞いた。

原井 義昭氏(左)。株式会社コロプラ 取締役CFO兼CHRO。有限責任監査法人トーマツで公認会計士の業務に従事した後、2015年コロプラに中途入社。これまでM&A、グループガバナンス体制の構築などを行い、2018年12月取締役CFOに就任。2019年9月よりCHROを兼任。

多家 文葉氏(右)。株式会社コロプラ HR本部人事部ベアーズグループ「コロプラBe-ars」編集長。2007年、新卒で広告制作会社に入社。2009年からはSOHO(*注1)として活動。ライターとして様々な業界の記事を制作し、オウンドメディアの立ち上げにも参画。2016年コロプラに入社。

*注1:SOHO
「Small Office Home Office」の略称。自宅や小さなオフィスなどを利用して仕事をするという働き方。

ものづくりへの姿勢をベースに、社内に企業文化を継承していく

企業文化

――コロプラの採用サイトを見ると、新卒・中途どちらのページも大変充実したコンテンツと丁寧な作りで御社の企業文化や世界観が伝わってきます。会社のイメージをしっかり発信していくことは、やはり採用においても重視されるポイントですか。

原井 そうですね。もともと社長の馬場がものづくりをするエンジニア出身ということもありまして、コロプラに集まっているのは「時代の先を行く新しい、いいものを作りたい」あるいは「それを推進したい」という想いを持つメンバーです。ですから採用サイトに関しても、クリエイターの方だけではなく、バックオフィスの方にも、エンターテインメント企業で働く楽しさや誇りといったものを感じていただけるといいなと思って作っています。

多家 そもそも「面白いものを作るために、チームや職種の垣根を越えてみんなで意見を言い合い、作っていく」という企業文化がベースにありますので、「Be-ars」の内容も自然とそういう形になっていったというような感覚があります。

原井 自分の作るものにこだわりを持ち、それで誰かを楽しませるのが好きな人や、職人的でありつつ、みんなでフラットに意見を交わすことのできる人が集まっていますね。

我々の使命は、時代の最先端を行きながら、より多くの方に楽しんでいただけるエンターテイメントを生み出していくことになります。なので一人よがりではなく、いろんな人の意見を聞きながらみんなで作っていく必要があるんですね。

多家 「みんなで作る」というのがベースにあって、それから採用サイトに掲載されている「コロプラで働く3つのキーワード」の「素直さ」「我が事(わがこと)感」「ユーザー思考」も、社内では日常的に耳にする言葉で、とても大事にされていることですね。

原井 「素直さ」はそれだけ聞くと、上司の言うことに従うといった意味にとらわれがちですが、そうではありません。変化の激しいエンターテイメント業界に対応するため、世の中で何が求められているのか、柔軟にデータや結果を受け入れ、人の言葉に耳を傾けよう、というものです。

多家 「我が事感」は、異なるチームや職種の人の仕事も自分のことのように思うこと。自分が関係していないゲームでもちゃんとプレイして、思ったことがあったら率直に意見を伝えましょう、といったことを意味します。

原井 「ユーザー思考」は、「どんなゲームだったら、多くのユーザー様に本当に喜んでいただけるかを真剣に考える」という意味です。

弊社では毎年、期初のキックオフと呼ばれる社員総会を開催しています。そこで、社長が社内向けのスローガンを発表します。ある年のスローガンは「Job Change(ジョブ・チェンジ)」でした。これは転職という意味ではなくて(笑)、自分以外の職種の視点も持とうということです。たとえばデザイナーでも、プランナー的な視点で気づいたことがあれば「我が事」と思って伝える。なぜならばそれがユーザー様のためになるからです。

スローガンは毎年変わりますが、「素直さ」「我が事感」「ユーザー思考」という3つのキーワードは必ず軸にあります。こうした企業文化に共感いただける方とお仕事ができればと思っています。

――創業者の想いに共感したメンバーが集まり、企業文化として社内でしっかりと共有され、さらにそれに共感する人材へ情報発信をしていくということですね。

原井 おっしゃる通りです。ただ、会社が大きくなると社長の考えを求職者の方々へ届けることはもちろん、社員全員に誤解なく伝えることにも工夫が必要になります。それで社員数が500人を超えた時期(2015年11月)に「Be-ars」を作りました。会社のサイトに、きちんと言語化したビジョンやミッションを載せるようになったのもこの年からです。

こうした取り組みの甲斐もあり、更に多くの方々に興味を持っていただき、現在では株式会社コロプラ単体で約900人、グループ会社を含めると約1,400人の社員が在籍しています。

「現場ファースト」と「正直」を軸に、社内外にファンを作り出す

オウンドメディア

――採用が目的であると同時に、企業文化を社内外に正確に伝えるためのメディアとして「Be-ars」があるということですが、多くの社員のインタビューが掲載されています。社内全体が採用に対して協力的なように見受けられます。

多家 「Be-ars」がスタートした当初、実は社内での評判はあまり良いものではありませんでした。というのも「Be-ars」のコンテンツ制作に協力することで社員に負担がかかっていたからです。

私が「Be-ars」の担当になった2016年当時、現場からは「ゲーム制作に集中したい」という声が多く聞かれました。そこで、インタビューを受けてもらったあとの原稿の確認作業が最小限になるように工夫したり、締め切りなどのスケジュールも「あくまでも希望」として出すようにしたりと、できるだけ現場の負担を減らせるようにしていきました。現場ファーストの制作体制にすることで、徐々に社内の理解や協力を得ていきました。

コロプラ 原井

――出演や執筆の依頼の段階で、丁寧に調整しているということですね。

多家 そもそも弊社にはいわゆる「出たがりの人」が少ないと言いますか、「Be-ars」に関しても「本当は恥ずかしいけれど、採用のためなら」と協力してもらっている感じなんですね。

ありがたいことに今では「自分が載ったことで、家族が喜んでくれた」とか、「Be-ars」に載ること自体を誇りに思ってくれる社員も増えてきましたが、それは「Be-ars」がコロプラに根付いてきた、この1〜2年のことです。

原井 特に若手社員には「Be-ars」に載ると喜んでくれる方が多くて、モチベーションの向上につながっているようです。採用という目的とは若干ずれますが、帰属意識を高める、組織力を作る、という意味でも「Be-ars」は会社に貢献しています。

あとはさきほども申し上げた3つのキーワードを、新しく入社された方に早くキャッチアップしていただくという面でも「Be-ars」というオウンドメディアには意義があると感じています。

多家 「Be-ars」は基本的に求職者向けサイトではありますが、記事を公開するたびに、全社員に共有しています。そうすることで、みんなが定期的に企業文化をあらためて思い返したり、他の職種の業務内容を理解したりといった役割も担っています。

――「Be-ars」に対する求職者の反応はどうでしょうか。

多家 「エントリーシートを書く際に社員インタビューが参考になった」という感想はよくいただきます。また、最近は「インタビュー記事を読んで憧れたクリエイターに、面接の場で会うことができた」という方も出てきました。入社前から弊社のファンになっていただけているのはとても嬉しいことです。

逆に面接官となる社員の側も、「面接の場だけでは話しきれないことを事前に読んでから来てもらえるのは助かる」と言ってくれます。実際、求職者の方々は記事をかなり読み込まれていて、面接の場では一歩踏み込んだ話からスタートし、深いところまで話ができるケースが多いと聞いています。

――応募者がコロプラへの理解をより深めた状態で選考をスタートできるということですね。それだけ事前に読み込んでもらえるコンテンツを作り続けるために、面白さやクオリティの基準はどのように設定しているのでしょうか。

多家 「求職者の方にとって役に立つか」という点は大事にしていますが、「内容が面白いかどうか」はあまり気にしていません。その時にしゃべってもらったことをなるべくそのまま記事にすることを心がけています。

なんと言えばいいのか……エンターテインメント企業ということもありまして、突飛なことを言う社員が時々いて、「この話をそのまま出して、いいのだろうか」と悩むこともあるんですね。でも、それくらいぶっ飛んだメンバーも「面白いもの」を作るためには必要で、活躍している会社だということが伝われば、それはそれで良いというスタンスで公開してきました。そしてその記事をきっかけに、やはりちょっと尖ったクリエイターが入社してくれたりするので、結果オーライかなと(笑)。

もちろん、全ての記事が読者全員に刺さるとは思っていません。とはいえ面接の時などの緊張緩和にはなるのではないかとは思っています。そんなところがコロプラの社風というか、自由なところですね。

「ゲーム会社の採用サイト」というプライドを持ち、導線とUIを考え抜く

採用サイト

――「Be-ars」の充実ぶりもさることながら、採用サイト全体が丁寧に作り込まれていています。UIや導線も非常に大事にされていると感じました。

多家 コロプラはスマホゲームを提供している会社ですから、サイト内の導線やUIにはとても気を配っています。採用サイトがサクサクと動かなかったり、欲しい情報になかなかアクセスできなかったりするようでは、「この会社のプロダクト、大丈夫?」と思われてしまうでしょうから、徹底的に考え抜いています。

新卒採用サイトでも中途採用ページでも、求職者が知りたい情報や、こちらが伝えたい情報を順番に見ていただけるような作りを意識しています。たとえば、募集職種からスタートして、続いて社長メッセージと事業内容、次に会社の数字が一目で分かるインフォグラフィックのページ、そして企業文化のページ、といった具合です。

ジョブディスクリプションでも導線を意識していて、仕事内容を説明する記述のなかに各職種に関連した「Be-ars」の記事のリンクを掲載していて、その仕事に関する具体的な業務内容やチームの空気感を感じていただけるようにしています。

もう一つ、ゲーム会社らしくワクワクするページを作りたいと考えて、『白猫プロジェクト』や『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』などのゲーム画面と同じデザインの採用ページを設けています。ゲーム会社らしいこだわりや遊び心を感じていただけるといいなと思います。

『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』開発スタッフ募集ページ
『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』開発スタッフ募集ページ。(左)募集職種が実際のゲーム画面のようにカーソルに入って並ぶ。(右)「先輩スタッフの活躍」を紹介するページでも、エンジニアを「属性:雷」、入社年を「Lv.」と表記するなど、ゲームのキャラクター紹介のような書き方となっている。

――御社には「Be-ars」とは別に福利厚生などの情報を発信している「コロプラネット」というサイトもあります。こちらはどういった理由から作られたのでしょうか。

多家 「コロプラネット」は、それまでまとまった情報として発信していなかった弊社の福利厚生や社員サポート制度を一つに集約して紹介しているサイトです。ほかのエンターテイメント企業と比べて特に変わった内容のものではないと思いますが、他社と比べたときに見栄えで遜色がないようにしたいという思いから開設しました。

職種ごとの採用イベントを通して、「コロプラのリアル」を体験してもらう

イベント

――コロプラでは職種ごとに採用イベントを開催したり、インターンシップに力を入れたりしています。求職者とリアルの場で接点を持つことにどのようなメリットを感じていますか。

原井 リアルの場でイベントを開催しているのは、その職種や職場の雰囲気をダイレクトに感じていただきたいからです。

インターンシップも、職種によっては社員が数日間張り付いて本番さながらの業務を体験してもらいます。たとえば、プランナー志望の方を対象とした回であれば、ゲーム内クエストの立案から実装までの業務に入っていただくのですが、クリエイターが5日間つきっきりでサポートします。そうやってチームで良いものを作るという体験を通して、コロプラという会社を知ってもらえればと願っています。

多家 たとえば、弊社にはシナリオライターという職種があるのですが、ここに応募される方は、それまでもフリーランスでシナリオライターをされていた方が多いんですね。なのでこの職種の説明会などでは、求職者からの「会社勤めで一番大変なことはなんですか」という質問に、社員のシナリオライターが「毎朝、会社に来なければいけないことです」と真剣に答える……という感じで(笑)、同じ職種ならではの会話が交わされたりしています。

このようなリアルイベントの良さは、求職者の方が知りたいと思っている率直な質問に、その場でお答えできるところです。お互いに気になることを本音で話してミスマッチをなくしていくというメリットがリアルの場にはあります。

徹底的に「人」にフォーカスし、ブレない価値と想いを発信し続ける

価値と想いの発信

――お話を聞いていて、オウンドメディアと採用に対する熱量の高さを感じました。その原動力はどこにあるのでしょうか。

多家 弊社にはモノという資産がないと言いますか、言ってしまえば、あるのは「人」だけなんですね。そして我々が作っているエンターテイメントは「人」がいないと生み出せません。だから一人ひとりの技術や想像力、クリエイターとしていいものを作っていきたいという強い思いを大切にしてつないでいきたいんですね。そういう必然性があるので、採用サイトでの発信や求職者との直接のコミュニケーションに力を入れている、ということだと思います。

原井 コロプラは創業当初はフィーチャーフォン向けの位置情報ゲームで世の中に認知され、その後は現在のスマートフォン向けのモバイルゲームで企業として成長しました。そして現在は“新しい遊び方の提案” に挑戦しようという段階にあります。

変化が早い業界であるため、その時々に注力している事業に寄った印象を持たれがちですが、一つの側面や事業だけを見てコロプラが理解されないように気を付けています。どんな場面でも変わることのないコロプラで働くことの価値や想い、また、弊社の価値や追求していく世界を、採用サイトやオウンドメディアを通じてきちんと伝えていきたい。そういった思いで取り組んでいます。

【エントリー受付中|10月12日まで】Owned Media Recruiting AWARD 2020

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【エントリー受付中!】オウンドメディアリクルーティングに取り組み、能動的かつ先進的な採用を行う企業を表彰する、オウンドメディアリクルーティングアワード2020

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