CASE STUDY

「偏愛」を合言葉に、ブレない理念と柔軟な変化が可能にするWOWOWの少数精鋭採用

2019.11.05

1991年の開局以来、日本初の民間衛星放送会社としてノーカットでの映画放送や海外ドラマ、スポーツ、音楽、オリジナルドラマ、他メディアとのコラボレーション作品など、様々なエンターテインメントを提供しつづけてきたWOWOW。
同社は2015年に10年後=2025年の未来のWOWOWへ向けて、全社員参加で「M-2025」という行動指針を作りだした。この旗印のキーワードである「一人ひとりの偏愛が、世界を刺激する」という言葉が、採用活動の確固たる軸として存在している。「モノやサービスが溢れる現代において、どこか突き抜けた人間から面白いものは生まれる」と語るのは人事部長である奥野俊彦氏だ。
そうした魅力的な人材と出会うために必要なものとは何か。確固たる理念と柔軟な姿勢で世の中の変化に対応するWOWOWの採用術について聞いた。

奥野俊彦氏
奥野俊彦氏。千葉大学工学部を卒業後、1995年に日本衛星放送株式会社(現(株)WOWOW)へ就職。入社後20年間、技術畑を歩みつづけ「常に最高の作品を届ける」ため、カメラマン、時にテクニカルディレクターとして世界中を飛び回った経験をもつ。2016年異色の経験ながら、人事部長に就任、今に至る。

求めるのは「偏愛」「変革気質」を持って「周りを巻き込める」人材

バリュー

――WOWOWでは応募者へのメッセージとして「一人ひとりの偏愛が、世界を刺激する」というスローガンを掲げています。WOWOWが求める人材像について聞かせてください。

奥野 採用に関しては、3つの軸で考えています。一つ目の軸は「こだわり・偏愛」です。今まさにおっしゃった「一人ひとりの偏愛が、世界を刺激する」ということです。WOWOWのようなエンターテインメントを提供する会社では、社員一人ひとりが自信を持って「これだ」と言えるものを持っていることが大切です。今の時代、尖った部分やこだわりがないとワンオブゼムで終わってしまう。「偏愛」でいいから何かしら自分なりの「こだわりの軸」を持ってWOWOWに来てほしい。応募される方にはそれを期待しています。

二つ目の軸は「プロデュース力」です。ここで言うプロデュース力とは、周りを巻き込みながら物事を成し遂げる力を指します。WOWOWという会社は名前こそ世の中に知れ渡っていますが、社員数としては300人程の小さな会社です。これだけの人数で放送という事業を続けていくには、社員一人ひとりが互いに持ちつ持たれつ、時には刺激しあって成長していく姿勢が不可欠です。また、社内のみならず外部の企業やクリエイターの方々と協力していくことももちろん大切です。

三つ目の軸は「変革気質」。WOWOWも開局から20数年が過ぎ、意識面で安定期を迎えています。こうなると、組織的になかなか新しいものが生まれてこない。なので、新入社員には面白いと思ったことや新しいことに積極的に取り組んでもらい、社内の空気をどんどん変えていこうといったマインドを求めています。

――そういった人物の特性というのは選考の過程で何かしらの基準を設けて判断されているのでしょうか。

奥野 選考のフローとしてはエントリーシートを提出いただいた後、基本的に複数回の面接を経て、最後は役員が面接して採用・不採用を決定します。その際に目安としているのはあくまで「一緒に働きたいと思えるか」です。いくら優秀な方でもこちらが一緒に働きたいと思える人じゃないと、結局ぶつかってしまって上手くいきません。

加えて、その人がWOWOWで活躍している姿のイメージが湧くかどうか。言語化するのは難しいのですが、欲しい人材というのは会話をしていて「この人なら何かやってくれそうだ」というものを感じさせてくれるものです。

また、素直さも基準の一つになります。仕事をしていると周りからいろんなことを言われるし、時には意見がぶつかることもあります。そうした場面で、まずしっかり受け止めた上で、自分で考えて次の行動ができるかどうか。人の意見を受け入れることができるかどうか。そういう資質は重要ですね。

――新卒採用と中途採用(キャリア採用)、それぞれの採用人数や割合などはどうなっていますでしょうか。

奥野 採用数はどちらも一桁で、新卒とキャリア採用を合わせても20人弱といったところです。近年、必ず新卒で一定の人数を採用しなければいけないという考えではなく、新卒、第二新卒、中途でより良い人材を採ろうという考えにシフトしています。

――大勢いる応募者のなかで、ピンポイントで欲しい人材を見つけるため、何か工夫している点はありますか。

奥野 施策の内容は、前年踏襲せず毎年なるべく変えるようにしています。2年ほど前までは自社説明会の開催や、採用に関するリアルイベントへの参加をしていたのですが、それを昨年から一切やめました。どうしても開催場所の関係などで、情報発信の範囲に偏りが生じてしまったり、時間が限られているため、こちらが発信したい情報だけ伝えて、求職者が本当に知りたい情報を得る時間が短かったりなどメリットが少ないと感じたことがきっかけです。それであれば、地方や海外にお住まいの方々も含めてフラットに情報提供ができるWebをメインの発信手段にしようと決めました。

また、WOWOWという社名の知名度は高いものの、何をやっているのか、どんな人が働いているのか分からない人が多いという課題がありました。その部分の情報を詳細かつ網羅的に伝えるということであれば、自社サイトしかないということで、コンテンツを充実させていくことにしました。

充実のコンテンツと対象に合わせたアプローチでベストマッチングを目指す

カルチャーコンテンツ

――おっしゃるとおり、WOWOWの採用サイトは、リンクしている記事も含めてたいへんコンテンツが豊富で充実しています。自社が直接情報発信をしていく意義、そこから得られるメリットは何でしょうか。

奥野 私が今のポジションに就いて3年と少し経ちますが、人事に来てから採用サイトの見せ方には気を配ってきました。

現在は会社概要や募集要項、福利厚生や人材育成制度といった一般的なコンテンツのほかに、コンセプトムービー、社長メッセージ、各部署の社員インタビュー、それに当社のウェブマガジンの『FEATURES!』などをトップページに並べています。応募者の方はこれらのコンテンツを読み、当社の理念や社風を知ってもらった上で、選考に臨んでいただいているため、入社後のミスマッチはほとんどなく、離職率も低いです。

加えて今年は、現場の社員と直接やりとりができる「オンライン社員交流会~インスタライブWEEK」を開催しました。2週間の日程で行なったこのインスタライブには、WOWOWの社員が毎日1人ずつ登場して、参加いただいた方々の質問に回答しました。

――インスタライブでは参加者からどんな質問が寄せられましたか。

奥野 登場した社員本人より、その社員が所属する部署についての質問が多かったです。部署の人数、職場の雰囲気、1日のスケジュールなど、求職者が特に知りたいのは働き方や雰囲気だということがわかりました。毎回100人ほどの方にご参加いただき、良い施策だったと思います。

ただ課題もあって、インスタライブの参加者もそうですが、技術職を希望する応募者は少ないんです。それもあって、技術職の社員インタビューやWOWOWの技術に関するセミナー動画など、まずは業務内容を知り、興味を持ってもらえるようなコンテンツを増やしているところです。

――求職者の特性に合わせた情報やコンテンツを適切に発信していくことが、当たり前のようですが非常に重要になってきますね。

奥野 そうですね。企業と求職者の双方がそれぞれの考えを発信して、お互いにしっかりと理解し合うことが重要だと思います。

先ほども申し上げましたが、求職者にとってWOWOWの事業や働き方などは非常に見えづらい部分があると思います。放送しているコンテンツも、全部調達して流しているだけだと思っている人も実は多いんですね。また、放送業界を志望する求職者は、より番組づくりに近いところ、ディレクターのようなポジションを希望する方が比較的多いのですが、WOWOWで制作に携わる社員は全員がプロデューサーです。そういった一部分の情報だけをお持ちの方が入社ということになると、イメージと違ったのでやっぱり辞めますということにもなりかねません。

それはその方も我々もお互い不幸なので、そのギャップを極力少なくするためにジョブディスクリプションは詳細に掲載し、あらゆるポイントで情報開示を心がけています。特に、キャリア採用は経験を積まれた方々が対象で即戦力を求めていることもあり、ジョブディスクリプションもより具体的に書いてあります。

――採用サイトとリンクしている『FEATURES!』も内容が大変充実しています。

奥野 『FEATURES!』はWOWOWという会社を外の方に知っていただくためのオウンドメディアです。WOWOWのオリジナルコンテンツ「ドラマW」のプロデューサーや、音楽プロデューサー、スポーツ番組のプロデューサーなどの社員に加え、番組の出演者、脚本家、監督のような社外の方々のインタビューや対談を掲載しています。

例えばある番組のプロデューサーの経歴から番組制作の過程、自身の偏愛などを1時間程の長尺で語ってもらい、極力抜粋せずに掲載しています。採用をメインの目的としたメディアではありませんが、当社社員のコンテンツ作りへの想いを温度感高くお届けすることで、求職者が当社により強く興味を持っていただければ嬉しく思います。

加えて、もともと外部の方に向けたメディアとして誕生したものですが、社員同士を知るインナーコミュニケーションのツールとしても役立っています。

世の中の変化に合わせて自社の姿勢を問い直し、ベストを模索する

採用スタンス

――採用に関する課題や、今後取り組んでいきたいことがあれば聞かせてください。

奥野 いかにWOWOWに合った人を採るか、その最善のやり方は何なのか、というのは採用チームにとって永遠の課題です。今は外部環境も変化していて、ビジネスのサイクルがどんどん早まっています。それに対応するべく、今まで通り年次的な継続性のための採用活動を進めていくのか、即戦力となるような人を採り続けるようにするのかを考えています。

そのため、通年採用や、既卒や就職経験がある人などを対象に、たとえば「30歳未満なら誰でも応募可能」といった募集もやってみようかと検討しているところです。新卒の一括採用など採用活動の時期やタイミングについても本当にこれで良いのかあらためて検討しています。

WOWOWで何かをやりたいという人であれば、いつでも誰でも応募できるような仕組みを作りたいと考えています。もっと言えば、WOWOWが好きでなくても、価値観として何かしら共通の軸を持った人であれば一緒に働いてみたいですね。

そんな人材と出会うために、さきほどお伝えしたとおり、リアルイベントを廃止し、その代わりに採用サイトを充実させ、さらにインスタライブを使うなど、様々な手法を試みているわけです。オウンドメディアを含む採用サイトの情報を常にアップデートし、WOWOWに少しでも興味を持っていただいた方とあらゆるタイミングでコンタクトを取っていきたいと考えています。

Interviewee Profiles

奥野俊彦氏

奥野俊彦氏

千葉大学工学部を卒業後、1995年に日本衛星放送株式会社(現(株)WOWOW)へ就職。入社後20年間、技術畑を歩みつづけ「常に最高の作品を届ける」ため、カメラマン、時にテクニカルディレクターとして世界中を飛び回った経験をもつ。2016年異色の経験ながら、人事部長に就任、今に至る。

【2019年11月28日受賞企業発表予定】『Owned Media Recruiting AWARD 2019|オウンドメディアリクルーティング アワード』

【2019年11月28日受賞企業発表予定】『Owned Media Recruiting AWARD 2019|オウンドメディアリクルーティング アワード』

「オウンドメディアリクルーティング」を積極的に取り入れながら、能動的に採用を行っている先進的な企業を表彰する「オウンドメディアリクルーティング アワード」を2019年11月28日に開催します。

「オウンドメディアリクルーティング アワード」の詳細はこちら

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