CASE STUDY

本田技研工業 成長に必要な多様性を確保し続けるために 働く人の思いを前面に押し出していく

2019.11.19

ホンダのコーポレートサイトは豊富なコンテンツで常に高い評価を得てきた。その中でも採用ページには、「どうなるかじゃない、どうするかだ。」「やりたいことを、本気でやろう。」といった熱いメッセージがあふれている。同社にとって、こうした情報発信にはどんな意味があり、そこにはどんな思いが込められているのか。「オウンドメディアリクルーティング」の観点から、人事部人材開発課課長の大野慎一氏に話を聞いた。

自動車業界の急激な変容に合わせた人材を採用する

大野 慎一氏

弊社のキャリア採用の特徴としては、すでに専門性の高い人やスキルを持った人に入ってもらうことです。それぞれの専門性の掛け合わせで化学反応を起こしていくのが狙いで、当然、新卒採用とは一線を画すものです。

リーマン・ショックの時期にはキャリア採用の枠を絞っていたこともありましたが、最近では積極的に拡大しています。背景にあるのは自動車業界の急激な変容です。これまでになかった新しい領域で事業を展開することが増え、それに対応できる人材の採用に特に力を入れています。

昨年度においては、キャリア採用した人数は500人に上ります。この3年間で100人増えています。業種、業態、職種に制限は設けてはおらず、自動車を生産して販売するという従来型のビジネスのための人材に加えて、コネクテッドカーや自動運転の分野の専門家や新しいサービス領域で事業を立ち上げられる人材を採用してきました。

「採用で重視するのは経験なのか、スキルなのか」ということも聞かれますが、キャリア採用においては、特定のスキルや経験を持った人を採用するケースがある一方で、ポテンシャルを見いだして採用した人たちもいます。

確かに専門的な知識やスキルは重要ですが、新しいものを生み出すために必要なのは多様性です。定期採用とか中途採用といった言葉はありますが、さまざまなキャリアや考え方の人たちが、分け隔てなく働ける環境を大切にしています。

また、弊社は「自分のために働け」と言い切るような「従業員重視」を前面に押し出しています。採用でも「こうした職種があるのでお越しください」という企業目線のアプローチは取っていなくて、一人ひとりがどんなことを思っているのかということを重視して、対話を深めるアプローチを取ってきました。

その姿勢を端的に表しているのが採用スローガンです。新卒採用向けの「どうなるかじゃない、どうするかだ。」、キャリア採用向けの「やりたいことを、本気でやろう。」というスローガンには、自身の思い描く道を自分で切り拓いていってほしいという思いを込めています。

大野 慎一氏とTEAM Honda! 赤の緑茶

先の見えない時代には「人」と「志」を伝えるしかない

大野 慎一氏
弊社に限ったことではないですが、事業の変化のスピードが速く、変化の幅が大きすぎて、今後自分たちの企業がどう変わっていくのかを明確に示すことが難しくなっている時代です。その中で、弊社としてもホンダの魅力をどこまで伝えられているか、という課題を抱えており、伝え方を見直す時期だと考えました。

こういう事業環境にあって伝えるべきなのは、人や志だと考えています。「人事制度を変えました」や「働く環境を変えました」ということだけの発信ではなく、それよりもっと重要なのが人や志を押し出すことです。「ワクワクすることができそう」とか「こんな熱い思いを持った人がいるんだ」と思ってもらうことが大切です。

具体的にどういう情報を発信していくかというと、大きく分けて三つのコンテンツを設定しています。社員がどんな思いを抱いて働いているのかという弊社のカルチャー的なコンテンツ、キャリア採用で入った社員の経験談、そして外部の有識者の方々との交流です。

最初の二つにおいては、マインドセットにつながる情報を発信し続けることを大事にしています。一人ひとりが夢をかなえるためにチャレンジする「The Power of Dreams」という弊社のスローガンを絶対に外さない上で、本人がやりたいことは何だったのかをインタビューを通して徹底的に伝えています。

外部有識者との交流では、AI(人工知能)研究で有名な東京大学の松尾豊教授と弊社のエンジニアとの対談や、他社のAIエンジニアの方たちと弊社のエンジニアたちとのピザパーティーの様子などを採用ページに掲載しています。

このような採用のためのイベントになると、どうしても人事部門だけで完結させがちですが、重要なのは社員の意識を高めることです。その意味で、各部門からの協力は欠かせません。各部門からも前向きな協力を得られていますが、さまざまな部門の社員にもっと深くかかわってほしいと思っています。交流イベントは、採用のためにしているというより、社内の活性化や人材育成といった発想から実施しています。

F1も各部門の協力がないと勝利に結びつかない

F1も各部門の協力がないと勝利に結びつかない
F1も各部門の協力がないと勝利に結びつかない

また、コンテンツの構成についてもリニューアルしてきました。2017年に、スマートフォンでは見づらかったユーザーインターフェースやユーザー体験を見直して、採用ページを一新しています。さらにキャリア採用向けのコンテンツも充実させました。

このリニューアルは大変好評で、第38回日本BtoB広告賞の経済産業大臣賞をいただき、より多くの人に目にしてもらえるようになりました。

求めるのは2030年ビジョンを実現できる人材

大野 慎一氏
応募いただく方にお伝えしたいこととしては、弊社は部署が多く、事業が多角化していて様々な活躍のフィールドがあります。特にソフトウエアやデータ関連の技術者へのニーズは、複数の事業にまたがってあります。ある部門で、いったん採用しようと思った応募者の専門性は高いけれども、人員の構成バランスを考慮して採用を見合わせたいという状況になったときに、他の部門での採用を検討できるといったこともできます。もちろん、採用チームとして領域ごとのスキルや専門性、適性を理解するようにしています。

採用チームのみなさん
採用チームのみなさん

弊社は今、大きな変化の中にいます。中長期的なあるべき姿に描きにくい面があるのが現状です。すでに経営や部門との対話を増やし、事業は将来どう変化していくのか、それに対してどう対応していくのか、といったことの議論をしています。採用できる人材の質と量も考慮しながら、ビジネスを考える必要があるわけです。

こうした議論のベースになっているのが、2017年に策定した「2030年ビジョン」です。「移動」と「暮らし」の価値創造の《喜びの創造》、多様な社会・個人への対応という《喜びの拡大》、クリーンで安全・安心な社会へという《喜びを次世代へ》という三つの視点から構成されています。

会社として求めているのは、これらの三つを実現できる人材です。2030年ビジョンの実現を目標に、プログラムやデータマイニングを扱えるIT人材など、これまで弊社で働くことを考えたこともなかった人も含めて、採用活動を強化していきたいですね。

 

制作:日本経済新聞 電子版
※2019年9月20日日本経済新聞 電子版に広告として掲載されたもの
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです

Interviewee Profiles

大野 慎一氏

大野 慎一氏

本田技研工業株式会社 人事部 人材開発課 課長

1998年京セラ株式会社に入社し人事領域での経験を経て、2003年本田技研工業株式会社に中途入社。鈴鹿製作所、労政企画部での全社の人事労務企画を経て、2014年~2017年Honda of Canada Manufacturingに駐在。帰国後、現職にて人リソースの最大化に向けて採用から育成まで一貫した人事戦略全般をリードする。

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【2019年11月28日受賞企業発表予定】『Owned Media Recruiting AWARD 2019|オウンドメディアリクルーティング アワード』

【2019年11月28日受賞企業発表予定】『Owned Media Recruiting AWARD 2019|オウンドメディアリクルーティング アワード』

「オウンドメディアリクルーティング」を積極的に取り入れながら、能動的に採用を行っている先進的な企業を表彰する「オウンドメディアリクルーティング アワード」を2019年11月28日に開催します。

「オウンドメディアリクルーティング アワード」の詳細はこちら

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