CASE STUDY

日本電産 社員の人となり、入社後の暮らしまで イメージできる情報発信

2019.11.14

永守重信というカリスマ創業者のイメージが強い京都の企業・日本電産。しかし、同社が総合モーターメーカーとして数多くの製品で世界一のシェアを誇り、京都・滋賀をはじめ国内外に300以上の拠点を持ち、これまで60社以上のM&A(企業の合併と買収)を成功させてきたグローバル企業であることまで知る人は限られる。そうした採用市場における認知度は同社にとって課題であったが、解決策の一つに「オウンドメディアリクルーティング」があった。同社の人事企画部 担当部長の犬塚忠暁氏と、同部 課長代理 船木路子氏に話を聞いた。

犬塚忠暁氏
日本電産の採用戦略を語る人事企画部 担当部長の犬塚忠暁氏

当社はBtoBビジネスを手掛ける企業なので、どうしても「何をしている会社なのか」があまり知られていない面があり、それが採用活動における一つの課題になっています。採用戦略の前に、まずは当社の主な事業と、中長期的な戦略について説明したいと思います。

当社は総合モーターメーカーとして、自動車のEPS(電動パワーステアリング)用モーターやHDD(ハードディスクドライブ)用モーターなど、数多くの製品で世界一のシェアを持っています。

日本電産グループ全社を挙げた「5つの大波」への対応

中長期的な戦略としては、「5つの大波に乗る」ことを掲げています。5つとは、「クルマ・ロボティクス・省エネ家電・ドローン・5G通信」における技術革新の波のことで、当社の主力製品であるモーターの活躍フィールドが大きく広がるチャンスと考えています。

例えば、クルマの電動化。ご存じの通り、世界中で車の電動化の流れが進んでいますが、当社は車載用のモーターを数多く手がけています。最も分かりやすいのがEV(電気自動車)を駆動するトラクションモーターですが、当社は2019年から量産しています。単にモーターを製造するだけでなく、ギアとインバーターとモーターを一体化することで小型化・軽量化に成功し、世界中の自動車メーカーから注目されています。また、エンジンで駆動する従来のガソリン車でも当社のモーターは活躍しており、EPS用モーターやABS(アンチロック・ブレーキシステム)用モーターなどにおいても高いシェアを獲得しています。これらのシステムは、従来はエンジンから動力を供給する方式が主流でしたが、モーターに置き換えることで、エンジンの負荷が減り、低燃費化につながります。

トラクションモーターシステム「E-Axle」Ni150F シリーズ
トラクションモーターシステム「E-Axle」Ni150F シリーズの搭載イメージ

また、労働力人口の減少や人件費の高騰を受けたロボット市場の拡大についても当社の減速機やモーターに追い風になりますし、省エネ家電やドローンの普及も同様と考えています。5G通信と当社がどう関わるのかは一見分かりづらいのですが、通信速度が速くなるとやり取りするデータ量が増え、それを処理するスマートフォンやパソコンなどのCPU(中央処理装置)の発熱量が増えるため、ファンモータや冷却装置の市場成長が見込まれます。また、当社が開発した自動車用のレーダーアンテナはそのまま5G通信基地局のアンテナにも使えるなど、社内の技術を組み合わせて社会のニーズに対応しています。

これまで「産業のコメ」といえば鉄や半導体でしたが、今後はモーターが新しい産業のコメになると見ています。

こうした背景や社会ニーズに、まずは日本電産グループで新しい製品を開発して応えようとしています。これを社内では「オーガニック成長」と呼んでいます。一方、これまで国内外で60社以上のM&Aに取り組み、そのすべてを成功させてきました。当社グループはオーガニック成長とM&Aを両輪として成長しています。

マス広告では会社そのものの認知度、採用ページでは成長を支える社員を可視化

このように、当社グループにとって欠かせないオーガニック成長ですが、それを支えるのはやはり人的リソース、社員です。当社の強みであるスピード感のある成長を担える社員を採用するのは、人事担当者にとって極めて重要なミッションなのです。採用規模は当社の成長に伴って拡大しており、中途だけでも毎年100人以上を採用しています。採用担当者はできるだけ現場に入り込んで関係者とコミュニケーションを取り、どんな職場にどんな人材が何人必要なのかはもちろん、組織のビジョンや事業計画なども把握する必要があります。採用担当者もビジネスに貢献する一員として現場と一丸となって取り組んでいます。

次に、当社の採用活動については、課題の一つに、当社の認知度がまだまだ低いことが挙げられます。まずは会社そのものの認知度を上げるために、テレビコマーシャルをはじめとし、Facebook、YouTube、Twitter、LinkedInなどのSNSを用いた発信を行っています。

一方、当社の創業者である永守の経営手腕は経済界から高い評価を受けていますが、転職を検討している候補者にとっては「そのようなスピード感のある会社で自分は活躍できるのだろうか」という心理的なハードルにもなり得ます。そのため、コーポレートサイト内の採用ページでは、日本電産で働く社員一人ひとりに焦点を定め、働く上で大切にしていることや働き方・キャリアパスについて、求職者に十分伝えることを意識して紹介しています。多角的に日本電産の情報を提供することによって、求職者は、日本電産の成長は創業者理念を体現する社員一人ひとりの働きによるものだという視点も得られるようになります。

求職者目線での採用ページリニューアル

船木路子氏
採用ページのリニューアルについて語る課長代理の船木路子氏

現在の採用ページの形になったのは、2018年にリニューアルを行ってからです。求職者からの、勤務地周辺がどんなところなのか想像がつかないという懸念や、扱う製品や社員像が分からないといった声に応えるべく、社員・プロジェクトインタビューや勤務地周辺の住環境といったコンテンツを充実させました。

社員インタビューでは、社員の働き方を伝えるために、彼らの信念やキャリアビジョン、どのような考えで働いているのかを掘り下げました。さらに、プロジェクトインタビューでは、仕事の進め方はもちろん、社員がどんな目的や思いでプロジェクトに挑み、どのような思いで携わっているかが見えることを重視しました。これにより、個人の目的と会社の目標がどのように結び付いているかが分かり、当社で働くイメージが持ちやすくなりました。

また、意外かもしれませんが、日本電産では2020年までに女性管理職比率を8%まで上げるという経営目標を掲げています。現在、女性社員の比率は2割弱で、社会的にも女性からの知名度が高くはない現状があります。そのため、「モーター→鉄の塊→男性」といったイメージをどう崩していくかも課題です。採用ページでは、女性社員の活躍や利用できる制度などの情報が充実しているのはそのためです。実際、こうした女性向けコンテンツは好評を得ており、面接では半数以上の女性が応募に際してこれらのコンテンツが参考になったと答えています。

最後に、全国から採用を行うに当たって、求職者が勤務地に地縁がなく、二の足を踏んでしまうというケースがあったため、住環境に関して、採用ページにおける勤務地の魅力を発信するコンテンツを新設しました。具体的には、教育水準の高さや住みやすさを伝えることを意識しています。実際に、関西圏以外の求職者から「住環境に関するページを見て働くイメージが持てた」という声も上がっています。

オンラインとオフラインでより良いマッチングを

こうしたコンテンツ面でのリニューアルのみでなく、今回新たに「タレントプール」の仕組も導入しました。その入口となるのが、採用ページにある「キャリア登録」です。キャリア登録をされた候補者へは、当社のポジションでマッチする求人がある場合に声掛けを行ってイベントなどで事前に接点を持つという取り組みも行っています。それにより、部門からの要望に対し、タイムリーに登録者とマッチングできる状態を作っています。現在では、キャリア登録以外での外部データベースからの個人への直接スカウトも行っており、将来必要となる人材を見据え、戦略的にタレントプール人材を増やしていく取り組みを加速していきます。

そこからさらに進んだ取り組みとしては、応募意思不問の当社主催の「キャリアカフェ」といった少人数制のキャリアイベントを年に数回、関西と関東にて行っています。活躍している社員のリアルな声が聞ける座談会、カジュアルなキャリアマッチング面談会といったイベントを通じ、候補者から「日本電産で働くイメージがついたので、選考に進みたい」との声をいただいています。今後は、こうした取り組みを通じて、企業カルチャーを従業員の生の声から感じてもらい、求職者とのマッチングの精度向上を図り、ひいては入社後の活躍も視野に入れた採用活動に力を入れていきます。

採用チームのみなさん
採用チームのみなさん

社会ニーズの変化をとらえ、オーガニック成長とM&Aといった両輪での会社成長を支えるため、より効果的な人材獲得をこれからも採用チームとして続けていきます。

 

制作:日本経済新聞 電子版
※2019年9月25日日本経済新聞 電子版に広告として掲載されたもの
※本記事掲載の情報は、公開日時点のものです

Interviewee Profiles

犬塚 忠暁氏

犬塚 忠暁氏

日本電産株式会社 人事企画部 部長

1985年にソニー入社。半導体技術者として15年(うち米国に7年)、その後人事部門に異動し、採用、研修、企画業務を担当。米国、中国、インドなど現地でのキャンパスリクルーティングや、国内留学生の積極採用などグローバルな採用活動にも注力。2015年に日本電産に転職、主に国内外の中途採用を担当。

船木 路子氏

船木 路子氏

日本電産株式会社 人事企画部 兼 人事部 女性活躍推進室 課長代理

大学卒業後、自動車部品メーカーに入社。経営企画部で海外拠点立ち上げ・中長期経営計画、戦略実行に携わる。2010年日本電産へ転職。知的財産部を経て人事部へ。現在は、人事企画部 中途採用チームで採用戦略の企画立案から内定後の入社後フォローまで、一連のプロセスを担当するメンバーのリードに加え、2017年4月から女性活躍推進室を兼務し、女性採用・入社後支援を担当。

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【2019年11月28日受賞企業発表予定】『Owned Media Recruiting AWARD 2019|オウンドメディアリクルーティング アワード』

【2019年11月28日受賞企業発表予定】『Owned Media Recruiting AWARD 2019|オウンドメディアリクルーティング アワード』

「オウンドメディアリクルーティング」を積極的に取り入れながら、能動的に採用を行っている先進的な企業を表彰する「オウンドメディアリクルーティング アワード」を2019年11月28日に開催します。

「オウンドメディアリクルーティング アワード」の詳細はこちら

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