COLUMN & INTERVIEW

精緻なジョブディスクリプションが欲しい人材との出会いを生む――オウンドメディアリクルーティング実践方法(3)

2019.06.14

今回のステップ3「③求職者の検索キーワードを意識したジョブディスクリプションを作成」では、ステップ1で明確になった欲しい人材と出会う機会を生み出すために必要となる「ジョブディスクリプション(職務記述書)」の作成法を考えていきます。
フリーワード検索によって仕事を探す求職者が増えている現在、欲しい人材が行った検索にヒットするため、ジョブディスクリプションによって自社の求人内容を精緻に明文化し、常にメンテナンスすることが必須となります。

ジョブディスクリプションが、欲しい人材と出会うための鍵

ジョブディスクリプション

ジョブディスクリプションとは、職務記述書のことを言います。従来の一般的な募集要項は、簡単な仕事内容や給料などの記載にとどまっていました。一方、ジョブディスクリプションはさらに詳細な情報を記述します。項目には下記のようなものがあります。

●職務に関するもの
・職務の内容
・職務の目的
●仕事の役割
・目標
・責任
・権限の範囲
・関わりを持つ社内外の関係性
●必要な能力
・技術・知識
・資格
・経験
・学歴
上記の情報を詳細に記述することで「仕事の役割」と「必要な能力」の見える化を図り、欲しい人材の検索キーワードとしっかり合致させる必要があるのです。それは求職者とのミスマッチをなくすだけでなく、彼らの検索行動に応え、出会いの機会を増やすことにつながります。
また、ジョブディスクリプションは、状況変化に応じて常に適切なメンテナンスを行う必要があります。急速に変化する市場への対応やイノベーション推進が求められる時代においては、新たな仕事が生まれたり、既存の仕事が細分化したりすることが加速すると考えられます。従来の採用では、職種のカテゴリーはほぼ固定化されていましたが、現在の状況においては、フォーマットなどにしばられず、自社の細かなニーズを精緻に表現して求職者に届けることが、出会いの機会の創出やマッチング精度を高めることにつながるのです。

たとえば、コミュニケーションプラットフォームLINEを運営する株式会社LINEの採用情報ページの「職種一覧」には、数百ものジョブディスクリプションが用意され、各職種が細分化して定義されています。

そのジョブディスクリプションを開くと、雇用形態、業務内容、必須の経験・スキル、歓迎する経験・スキル、歓迎する人材像、勤務地、勤務時間、待遇・福利厚生などが書かれ、職種ごとの項目も細かく設定されています。

ペルソナをもとに求職者の検索キーワードを想定する

ペルソナ

では、ジョブディスクリプションはどのように書いていくべきでしょうか。求職者の仕事探しの検索行動は従来と変わってきています。かつては、金融、IT、メーカー……といった既存のカテゴリから企業をしぼりこんでいましたが、今は働き方やスキルなど個々の関心にそったワードをかけ合わせて検索し、合致する企業のジョブディスクリプションを閲覧するようになっています。
したがって、ステップ1で明確にした欲しい人材像のペルソナをもとに、求職者が検索窓にどんなキーワードを入れるかを分析し、それを逆算してジョブディスクリプションを書かなくてはいけないのです。
たとえば、大学院博士課程を修了予定の28歳男性を想定してみましょう。分子生物学を研究してきたものの、日本学術振興会特別研究員の審査に通らなかったため就職を考えています。まったく畑違いの会社で働くのも不安なので、自身のスキルを活かしたキャリアを考えています。

このようなペルソナが、どのようなキーワードで検索するかを想定します。考えられる検索キーワードは、下記のようなものです。

・28歳
・未経験 
・博士 
・研究員 
・専門キーワード 
・場所キーワード

まだビジネス経験がなく、自分がどのように一般社会で活躍できるかわからないので、「未経験」という文字が入ってくる可能性があります。自分の強みとしては、研究してきた分野の「専門キーワード」を入れる確率が高いでしょう。
このように、採用しようとしている人材像について細かく考えることが必要になります。採用ペルソナに近しい人が社内にいれば、どんなキーワードで検索するかを聞いてみるのもいいでしょう。
キーワードに即しつつ、ジョブディスクリプションの記載を充実させていく際は、下記のような軸にそって書くとよいと思います。

●採用企業に関する一般情報
・会社名
・職種名
・勤務地
・採用プロセス
・評価制度
●雇用条件
・給与
・雇用形態
・各種手当
・勤務時間
・休日・休暇
・福利厚生
・働く環境
●企業カルチャー
・企業ミッション
・部署・チームについて
・社員インタビュー
●職務情報
・仕事の目的・意義
・仕事概要
・仕事詳細
・プロジェクト例
・クライアント例
・募集職務の興味付け
●求められる能力
・必須経験・スキル
・歓迎経験・スキル
・求める人材像

株式会社LINEのジョブディスクリプション

ここまで詳しく記述することを推奨しているのは、理由があります。簡易的な職種名が書かれているだけの求人要項では、実際に入社して仕事が始まった場合、そこに書かれていない仕事が発生するケースが少なくないのです。いつの間にか兼務が増えたり、書かれてない仕事に携わることになったりしてしまい、「これもやるべきなんですか」という会話が発生し、ひいては離職につながってしまうのです。契約社会の欧米においては、当初の契約に書かれていない仕事をするためには、新たに契約を結び直さなければなりません。従来の求人要項のように業務の範囲を曖昧にするのではなく、詳細なジョブディスクリプションによってしっかり定義することをめざしてほしいと思います。

「求職者ファースト」の記述で選ばれる会社になる

求職者ファースト
ジョブディスクリプションを記述する際のポイントは、自社目線で考えるのではなく、「Job Seeker First(求職者ファースト)」で考えることです。
株式会社ディー・エヌ・エーの大西絵満氏は、「ジョブディスクリプションは応募者へのラブレター」「応募者への企業からの手紙だと私たちは考えています」と語っています。
企業は幾度となく求人要項を書いているため、定型文化しているところもあるかもしれません。ただ、それを読む求職者にとっては自分の将来を決める大切な文章です。求職者目線、求職者ファーストでしっかりとジョブディスクリプションを書いていれば、求職者が読んだときに「ちゃんと向き合ってくれている」と感じてもらえるのです。求職者は応募する際、自分に語りかけてくれているように感じる企業かどうか見極めて、さまざまな判断をしていると言えるでしょう。
次回のテーマは、自社の魅力となる強みを伝えるために鍵を握るシェアードバリューコンテンツ(SVC)です。SVCのなかで、企業理念や存在価値を発信するパーパスコンテンツについて紹介していきます。

【2019年6月18日開催】『Owned Media Recruiting SUMMIT vol.3 〜デザイン経営と採用ブランディング〜』

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採用活動において、欲しい人材を獲得するために大事なのは「求職者からみた自社への印象をどう形作るか」です。本イベントでは、「デザイン経営」に精通する識者や多彩なゲストととともに、採用の観点から、「自社への印象をどうデザインするか」について考えていきます。

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