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イノベーションが求められる時代の人材採用とはーOwned Media Recruiting SUMMIT Vol.1 レポート(1)

2019.01.25

ビジネスのスピードが加速し、モノやサービスが瞬く間に陳腐化してしまう時代。企業は、新たな価値を創造するイノベ―ションの必要に迫られている。しかし、それを担える人材が不足していることが多くの企業の課題だ。

イノベーションを担うことができる人材を、企業はどのように確保すればよいのか。その解決の糸口を探るべく、第一回Owned Media Recruiting SUMMIT(オウンドメディアリクルーティングサミット)が開催された。2018年12月、恵比寿ガーデンプレイスで開催された当イベントには、経営者・採用担当者など、約250名が参加。基調講演に早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄氏、またパネルディスカッションにユニリーバ・ジャパン島田由香氏、JT(日本たばこ産業株式会社) 長塚康介氏、株式会社マネーフォワード 服部穂住氏を迎え、「今」あるべき採用のあり方について考えた。

「来て欲しい人材に“腹落ち”してもらうには、自分たちでメディアを持つしかない」

講演する入山先生

「世界的に見ても圧倒的にイノベーションが求められる時代に“入ってしまった”」。
冒頭の基調講演、入山章栄氏はこのように口火を切った。経営戦略・グローバル経営に詳しい同氏は、
「いまの時代、少しでも恒常的に変化して前進することが、企業において何よりも重要」と語る。60分にわたる講演では、イノベーションの本質を紐解くとともに、なぜ日本ではイノベーションが生まれにくいのか、そしてイノベーションを起こす上で最も変わるべきは人事であることが解説された。

「イノベーションの根源のメカニズムは『知の探索』なんです。そして、その源はわれわれ人間です」。

企業のなかにある「既存の知」と、より遠い「知」の新しい組み合わせこそがイノベーションを生む。その組み合わせを担うべきは人事だが、まだ受け身の担当者が多いという。変化が激しく先が見えない時代だからこそ、企業が目指すビジョンを明確にし、周囲に「センスメイキング(納得)」を促さなければ、その「組み合わせ」が一緒に前進することは難しい。

センスメイキングを「腹落ち」と表現し、入山氏は以下のように基調講演を締めくくった。
「リクルーティングで来て欲しい人に腹落ちしていただくには、やっぱり自分たちでメディアを持つしかない。企業が持っている想いとか方向感、熱量。そういったものをいかに伝えるか。腹落ちしてくれそうな方にネットワークの中に来てもらうことは、これからの社会の中で決定的に重要です」。

(入山氏の講演は、別記事で詳しくレポートする予定です)

ジョブディスクリプションの明文化が検索ヒットのカギ

講演する髙橋氏

では、企業はどのように情報を発信するべきか。特別講演では「オウンドメディアリクルーティング」について、Indeed Japan株式会社 代表取締役/ゼネラルマネージャーの高橋信太郎が解説した。

オウンドメディアリクルーティングとは、採用サイトなど自社が運営するメディアはもちろん、SNS、社員など、自社と求職者をつなぐあらゆる接点を「メディア」と捉え、自社が主体となって情報を発信するリクルーティング手法のことだ。情報発信によって共感を喚起することで、自社にとっての「高付加価値人材」に出会い、選ばれる可能性を高める。

「その必要性の背景にあるのは、求職者の選職リテラシーの急激な進化、そして働き方に対する価値観の多様化です」と高橋氏。求職者の中心となるスマホネイティブ世代は、この情報があふれる時代において、無意識下に自分にとって有益な情報“だけ”を引き寄せたり収集したりといった行動を習慣化している。検索の方法もより進化し、巧みなキーワードの組み合わせで、より自分に合った企業に関する情報を探し当てるようになっているという。

高橋氏は、オウンドメディアリクルーティングで発信するべき要素は
・ジョブディスクリプション
・シェアードバリューコンテンツ
の2つであると解説した。

「ジョブディスクリプション」とは、その仕事の役割や必要とされる能力を、詳細に明文化して提示したもので、「どのような人材を求めているか」を求職者に明確に伝えるものとなる。検索で情報を探す求職者に対して、このジョブディスクリプションの記載がヒットのカギとなるという。

また「シェアードバリューコンテンツ」とは、自社のカルチャー(企業文化、社風、行動様式、行動規範)やパーパス(企業理念、存在価値)を伝えるもの。先述の入山氏の言葉でいう「企業が持っている想い、方向感、熱量」など「腹落ち」を促すものだ。

「人、SNS、ニュース…どのような出会いであれ、その企業に関心を持った人は、検索し、その企業のオウンドメディアに情報を求めます。採用においても同様で、求人媒体はじめこれまでの接点に加え、オウンドメディアの情報を拡充することが、求職者に対して共感を促すポイントとなるでしょう」。

採用担当者が語る「オウンドメディアリクルーティング」の必要性

セッショントークをする曽山氏、島田氏、長塚氏、服部氏

イベント後半は、株式会社サイバーエージェント取締役 曽山哲人氏をファシリテーターに、ユニリーバ・ジャパン 島田由香氏、JT(日本たばこ産業株式会社) 長塚康介氏、株式会社マネーフォワード 服部穂住氏を迎えたパネルセッションが行われた。

それぞれ採用を担当してきた3名が、自社にとっての高付加価値人材を獲得するためにどのような取り組みをしてきたか、採用基準やそれぞれの考えを熱く語った。新卒採用・中途採用を問わず、自分なりの価値観や意味報酬を大切にしている現代の求職者にとって、その会社が自分にフィットしているかどうかは、選職において最もウエイトを置くポイントとなる。また企業にとっても求職者に正しい情報を伝えることは、事前にミスマッチを防ぐ大切な要素となる。オウンドメディアによる情報発信の重要性は、ここでも共通の認識として再確認された。
(パネルセッションの詳細は、別記事で詳しくレポートする予定です)

4時間に及ぶサミットは、パネルセッション後の交流会を経て盛況のうちに幕を閉じた。聴講や他の参加者たちとの交流を通じ、改めて人事・採用担当者が担う役割、そして情報発信の意義を考える機会となった。

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