COLUMN & INTERVIEW

採用力は経営の意思決定で決まる – 求職者の変化にどう対応するのか?

2018.12.19

空前の売り手市場の中、求職者のニーズやモチベーションを正しく理解することが今、企業にとって重要な課題となっている。その課題解決のためには経営層が採用にコミットする流れをつくることが必要だ。では、そのために採用担当者は何をすればいいのか。または、経営層と採用をいかに結びつければいいのか。サイバーエージェント取締役の曽山哲人氏とIndeed Japan代表取締役の高橋信太郎氏が語り合った。

今、人材獲得競争が日々激しさを増している中、「日本の人事を強くする」ために興味深い取り組みを行っている会社がある。それがサイバーエージェントの子会社であるサイキャストだ。同社では現在、会員制人事コミュニティHLC(Human Resource Learning Community)を運営し、人事部門間のナレッジを共有し、経営層の採用へのコミットを高めようとしている。なぜこうしたコミュニティをつくるに至ったのか。同社社長とサイバーエージェント取締役人事統括を務める曽山哲人氏が次のように述べる。

「私はこれまで13年ほど人事部門に携わってきましたが、人事同士の横のつながりが少ないという声をよく耳にしていました。特にベンチャーの場合は人事スタッフが少なく、相談相手もいなければ、ノウハウもない。人事部門の重要性を経営課題としてとらえる企業も少なく、採用難は問題だと認識しつつも、どうすればいいのか悩んでいる方が多かったのです。そこで人事をもっと経営に近づけて、経営層のコミットメントを高めようとHLCを立ち上げました。人事が良くなれば、社員もハッピーになれるし、業績も絶対上がるはず。おかげさまで、多くの方に賛同いただき、現在700人強の人事の方々が参加されています」

いかに受け手がイメージできる情報を提供できるか

こうした取り組みに対し、求人検索エンジンのIndeed Japan代表取締役の高橋信太郎氏は、「以前からHLCの活動については注目していた」と語る。

Indeed Japanの高橋信太郎さん
Indeed Japan 代表取締役/ゼネラルマネジャー
高橋信太郎

「実は私の知り合いも何人か入っており、曽山さんがおっしゃるように、情報交換できることが何より役立っているという話も聞いています。求職者の職探しにおける行動は急速に変化しており、企業が今後、採用活動を改善していかなければ、若くて優秀な人材を確保することは一層難しくなっていくでしょう。そんなとき、企業の垣根を越えて人事部門間のナレッジを共有できれば、経営層が採用にコミットできるような流れを加速することができる。そうした動きは非常に重要なことだと考えています」

では、HLCの取り組みを通じて、曽山氏は求職者の変化についてどのようにとらえているのだろうか。

「私は今採用において、3e(トリプルe)というトレンドがあると考えています。三つのeとは、exposure(さらけ出し)、esteem(承認欲求)、emotion(感情報酬)です。つまり、会社の内情を細かく調べ、入社後自分が認められるのかどうか、または、仕事でワクワクできるのかどうかを重視するようになったのです。これまでの求職者は金銭報酬や知名度を重視する傾向にあったのですが、その条件レベルが今相当上がっているのです」

しかし、そうした求職者の変化に対応できている企業はまだ少ないと曽山氏は語る。

「HLCで最も多く議題に上がるのが採用の話です。いかに求職者の変化に対応すればいいのか、悩んでいる方も多いように思います。企業にとって大事なことは、とにかく自社で情報発信をすることなのですが、特に今はこの情報発信の厚みが求められています。端的にいえば、企業の詳細な情報をわかりやすくビジュアライズして、受け手が映像でイメージできるような伝え方が必要となっているのです。最近、動画や画像を使った採用ページが増えているのも、そのためなのです」

企業は発信すべき情報は二つ

こうした動きは今、Indeed Japanが提唱している「オウンドメディアリクルーティング」と重なってくるように見える。高橋氏が言う。

「オウンドメディアリクルーティングとは、簡単に言えば、自分たちの採用ページを使って自社が主体的に情報発信していこうというものです。自社媒体で能動的に情報を発信し、自社で採用の主導権を握ることが重要なのです。そこで発信すべき情報は二つ。一つはジョブディスクリプションです。これは求職者が仕事を見つけやすくするための、いわゆる職務記述書のことで、これを最適化することで、昨今、仕事の検索力が向上している人材から“見つけられやすい”情報提供が可能となります。そしてもう一つがシェアードバリューコンテンツです。こちらは企業理念や企業文化を伝えるコンテンツのことであり、効果的なものにするには、曽山さんの言うビジュアライズが重要になってきます。自社の魅力を求職者がイメージしやすいように工夫することで、多くの高付加価値人材を集めることができるのです」

このオウンドメディアリクルーティングについては、サイバーエージェントがいち早く力を注いできたと言われているが、その特徴とは何か。曽山氏が語る。

サイバーエージェントの曽山哲人さん
サイバーエージェント 取締役
曽山哲人

「私たちが重視しているのは、経営者や社員の顔を見せながら企業の思いを伝えること、そして、職種別に採用ページを設け、人材要件をきちんと定義することにあります。そのため、あるチームがどんなメンバーで会議をし、どうやって仕事を進めているのか。社員の個別インタビューだけでなく、プロジェクトチームのインタビューについても掲載していますし、オフィス環境や社内イベントなど自社のカルチャーについても詳しく紹介しています。また、『サイブラリー』と称して、会社説明会をすべてオンラインで動画視聴できるようにしています。さまざまな部署や職種の社員たちが、自分の言葉で自分の業務を説明しており、企業の魅力を伝えるという点では、非常に有効な手法であると考えています」

採用次第で会社を変えることができる

こうしたサイバーエージェントの取り組みに対し、高橋氏もこう評価する。

「自分たちの強みをきちんと理解して、求職者のニーズを細かいところまで把握し、一つひとつ細かいマッチングを行う。それが結果として、エンゲージメントの高い採用につながっていると考えています。企業としてビジョンが明確であれば、全体としてブレがなく、社員一人ひとりが強いメディアとなりうるのです」

このような採用ページをつくるためには、「求職者が欲しいと思っている情報が取れること」が重要だと曽山氏は強調する。

「先日、インターンを希望する学生を面接したとき、その学生は、私どもの社員がSNSでシェアした採用ページをきっかけに会社に興味を持ったと言いました。そのとき、私はその社員にとても感謝しました。もしその社員がシェアをしなければ、その学生は面接に来なかったでしょう。社員がシェアしたくなるような採用ページであったことも良かったと思いました。大事なことは採用情報の一連の流れをいかにつなげるか。これからはSNSをいかに戦略的に使うかが採用の成否を分けるようになると考えています」

今後、採用を強化していくには、会社を良くしたいという姿勢を経営層が積極的に見せることが必要だと曽山氏は言う。では、そのために経営者はどう変わらなければならないのか。

「今こそ、経営者は採用に全力を注ぐべきだと考えています。結局のところ、採用力の差は、経営の意思決定の差であり、採用次第で会社を変えることができるのです。私たちも10月から役員直轄の採用戦略本部を設置しました。こうした長期的な視点で採用に取り組むことが、将来の企業の競争優位を高めることにもつながっていくと考えています」

こうした取り組みを進めていくためにも、まずはオウンドメディアリクルーティングに取り組んでほしいと高橋氏は語る。

「たとえば、会社のどこが好きなのかを社員にアンケートしてみると、その結果が、経営層が考えるものとは別のものだったということがありました。その社員の声を基に採用ページを作成すると、非常に大きな成果が生まれたそうです。こうしたケースでもわかるように、まずは会社の魅力を一生懸命探してみることが大事なのです。そして、会社の価値を言語化し、求職者にアピールする。そうした試みが今、採用において重要となっているのです」

人を採用するということは、まず自社を理解すること、そして自ら発信すること。日本の経営者の意識がそのように変わるべき日はもう到来している。

制作:東洋経済新報社
※2018年11月22日 東洋経済オンラインに広告として掲載されたもの

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