COLUMN & INTERVIEW

なぜ「質の高い人材」を獲得できないのか – 採用に強いといわれる企業はここが違う

2018.10.23

今、多くの企業の採用担当者が「質の高い人材を獲得できない」という危機感を強めている。特に中途採用市場において、その人材獲得競争は日々激しさを増している。なぜそうなったのか。そして、その解決のために、企業はどう行動すればいいのか。「採用学」の確立に向け研究を続ける神戸大学経営学研究科准教授の服部泰宏氏と求人検索エンジンのIndeed Japan代表取締役の高橋信太郎氏が語り合った。

企業は今、求職者の価値観の変化に対応できているか?

人材獲得競争が加速し、求職者優位の時代といわれる今、企業の論理だけで採用活動を行うことは、ほとんど不可能になっている。なぜそのような状況になってしまったのか。その理由について、まず神戸大学の服部泰宏氏が次のように語る。

「いちばん大きな変化は、求職者の意識に変化が生じていることです。これまで求職者は会社を選ぶとき、給与や勤務地などわかりやすい基準で判断していました。しかし、今はもっと本質的な仕事の価値や自分のライフスタイルに合った仕事を求めるようになっています。その意味で、求職者の中では今、大きな地殻変動が起きているといえるでしょう。ただ、こうした“意識のインフラ”の変化に対応できている企業は非常に少ないのが現状です」

一方、Indeed Japan の高橋信太郎氏も同様に求職者の価値観が急速に多様化しているうえ、企業が採用したい人材像の定義を明確に行えていないという背景があるという。

「自分の経験やスキルを生かして転職したいという求職者に対応するためには、まず企業側が求める人材像をきちんと定義してさまざまな情報を発信していく必要があります。特に中途採用の場合は、求める経験やスキルを具体的に語らなければ、質の高い人材と出会うことは難しくなります。企業の情報発信が十分でないと、採用市場における求職者は自分の求める仕事を見つけにくくなり、結果的に市場の流動性も高まりません。求職者が、現在の仕事・企業に不満だから転職するのではなく、自分の能力を生かしたいから転職したい、というマインドになるには企業側の情報発信が不可欠です」

では、求職者には具体的にどのような変化が起きているのであろうか。服部氏が言う。

「たとえば、会社に入ったばかりの新卒でも、そこで一生過ごそうと考える人は今ほとんどいません。若い世代は、それだけ組織に対して絶対的な信頼感を抱いていないのです。中には、就職直後の5月から転職サイトを見始める人もいるほどです。ただ、それは会社に不満があるわけではない。自分の市場価値について把握するためなのです。かつては会社組織の中で、自分の価値を上げるのが当然でしたが、今は大きな人材市場の中に自分の価値を求めるようになっているのです」

高橋氏も、優秀な学生ほどNPOや国連など社会貢献的な仕事を志望していることに、価値観の大きな変化を感じるという。

「優秀な学生は、いわゆる世の中の就職人気企業ランキングとはまったく異なるプロフィールを持った企業を選ぶ傾向にあります。そのため、優秀な人材ほどさまざまなネットメディアから網羅的に情報収集することに熱心になっています。それは自分に合った会社や仕事を探したいという欲求が高まっている証拠でもある。これは過去に例を見ないトレンドだといえます」

変容する検索行動、ストーリーでキャリアを描く求職者

それゆえ、Indeedのような求人検索エンジンでも「検索の仕方がより高度になっている」と高橋氏は指摘する。

Indeed Japan 代表取締役/ゼネラルマネジャー 高橋信太郎
Indeed Japan 代表取締役/ゼネラルマネジャー
高橋信太郎

「たとえば、検索キーワードでは『エンジニア×東京』ではなく、『エンジニア×データ分析×東京』といった具合に、自身のスキルや志望により近い求人情報にたどり着こうとする傾向があります。従来の仕事探しでは、求人媒体を閲覧する方法が主流でしたが、今は検索エンジンを利用し、より自分の希望に合った情報を探すようになった。もっといえば、普通の検索エンジンで何かを検索するように、求人検索エンジンを気軽に利用するようになっているのです」

それは、今の求職者が自分なりのロジックを重視するようになったからだと服部氏は言う。

「大きな会社で大きな仕事をしたいという昭和的な発想ではもうないのです。第一志望がNPO、第二志望で人材業界、第三志望にIT業界と一見脈絡がなくても、本人の中では一貫したロジックがあるのです。しかし、そうした価値観の変化は私たちには見えにくい。だからこそ、求職者のニーズや思いに企業側がきちんと耳を傾ける必要があるのです。

さらに、かつての求職者は社会が規定した業界の『カテゴリー』に沿って仕事を探していましたが、現在ではそのカテゴリーに当てはめるのではなく、多くの求職者は自分の言葉で仕事を探す『フリーワード検索』を行っている傾向が見えます」

高橋氏も積極的な情報収集意欲のある求職者に対して、企業側が「情報を見つけてもらう」という視点を強く持つことが必要だという。

「そのために大事なことは、求人情報の一つひとつの文章を精緻化することです。どのような人が欲しいのか。その求人要件を明確化し“ジョブディスクリプション”として提示する必要があります。海外でジョブディスクリプションといえば、求職者との契約書だといわれるくらい重要なもの。このジョブディスクリプションを基に検索エンジンのフリーワードに引っ掛かることで、マッチングが成立するという流れを生んでいくべきなのです」

また、自分なりのキャリアのストーリーを思い描いている求職者に対し、企業側はどのようなキャリアを提供できるのか。そのストーリーをイメージできるような情報提供をすることも大事だという。高橋氏が続ける。

「この会社で将来どのように働いているか、どのように社会に貢献できるか、自分のキャリアの“ストーリー”をイメージできる。そうした情報を私たちは“シェアードバリュー(価値共有)コンテンツ”と呼んでいます。いわば、共感を呼び、未来の自分を想像できる情報です。求職者が検索エンジンで採用企業のサイトにたどり着いたときに、企業理念や社風といった魅力を紹介したシェアードバリューコンテンツがあれば、理解度や応募動機をさらに高めることができるのです」

さらに服部氏は、フリーワードで仕事を発想する人は、自分でキャリアのストーリーを作っていくことができると語る。

「企業として、どういうキャリアを提供できるのかというストーリーを見せていくことが重要です。ひとつひとつの“点”で仕事を見せていくのではなく、求職者にとって、その仕事が人生におけるキャリアにつながると認識し、自社の仕事を伝えていくべきなのです」

今企業に求められるオウンドメディアリクルーティング

神戸大学経営学研究科准教授 服部泰宏
神戸大学経営学研究科准教授
服部泰宏

今後、採用環境の変化に対応するために、企業はどうすればいいのだろうか。それには、まずトップのコミットメントを強めるべきだと服部氏は主張する。トップが採用を重視し、能動的に動く。そして自分たちの言葉で語る――。こうした採用を実現していくために今必要となっているのが「オウンドメディアリクルーティング」だ。

実際、採用に強いといわれる企業の多くが、オウンドメディアリクルーティングの手法を採っていると高橋氏は指摘する。

「求人媒体に任せきりにするのではなく、自社媒体で情報を発信し、自社で採用の主導権を握ることが重要なのです。私はそれを求人媒体の広告枠、制限ある文字数からの解放だと考えています。かつてオウンドメディアは集客力に限界がありました。しかし、今はテクノロジーの進化により、求人情報に特化した検索エンジンも誕生し、その課題がクリアされています。Indeedは、まさにそのパイオニア的な存在です。時代に即した新しい次元でのジョブサーチを実現し、多くの求職者から支持を得ています。オウンドメディアリクルーティングを実現できれば、求職者の意識や行動に適した施策をとることができ、人材の自社サイトからの応募ルートを強化することも可能なのです。そして資金力や知名度に依存することなく、人材採用においてあらゆる規模の企業が同じ土俵で勝負できるようになります。実際に採用力が高いとされている企業は、自社の採用サイトでの情報発信がしっかり行われており、オウンドメディアリクルーティングにおいて先進企業であると言えます」

服部氏はオウンドメディアリクルーティングによって、日本企業の採用力を取り戻すことがこれから大事になってくるという。

「今、アメリカでハッピーな職業として高い地位を得ているのが、採用担当の仕事です。その理由は、数年先の会社をつくっているという実感を持てる誉れ高い仕事だから。日本企業でも、そうした自負を持った担当者がぜひ増えてほしいですね」

高橋氏はこれからのオウンドメディアリクルーティングの重要性について、こう語る。

「企業の自社サイトは求職者が必ず見るものです。だからこそ、オウンドメディアとしてきちんとした求人情報コンテンツを掲載する必要があるのです。それが機能し始めれば、一人当たりの採用コストは必ず低減されます。私たちが提唱するオウンドメディアリクルーティングは必ず企業の採用力向上に寄与すると考えています」

制作:東洋経済新報社
※2018年10月22日 東洋経済オンラインに広告として掲載されたもの

Interviewee Profiles

服部 泰宏 氏

服部 泰宏 氏

神戸大学大学院 経営学研究科 准教授

神奈川県生まれ。 国立大学法人滋賀大学専任講師、同准教授、国立大学法人横浜国立大学准教授を経て、 2018年4月より現職。 日本企業における組織と個人の関わりあいや、ビジネスパーソンの学びと知識の普及に 関する研究、人材の採用や評価、育成に関する研究に従事。 2010年に第26回組織学会高宮賞、 2014年に人材育成学会論文賞などを受賞。

高橋 信太郎

高橋 信太郎

Indeed Japan 株式会社 代表取締役/ゼネラルマネジャー

関西大学在学時からベンチャー企業リョーマで活躍。1989年リクルートに入社。求人広告事業の営業として、年間MVPを多数受賞。新規事業開発室に配属後は、ゲーム情報誌を創刊。その後、リクルートの子会社であるメディアファクトリー(現 株式会社KADOKAWA)に出向し、ゲームの新流通開発などエンターテイメント事業で活躍。2001年まぐクリック(GMOアドパートナーズ)に転じ、ネット広告をはじめとしたインターネット事業を手掛ける。06年代表取締役、13GMOインターネットグループ常務取締役となる。164月よりIndeed Japan株式会社 代表取締役/営業本部長に就任。1710月より現職。

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