採用ブランディング

2019.06.18

少子高齢化により激化する採用競争。そんな中で注目されている概念が「採用ブランディング」です。そもそもの「ブランディング」の考え方から、それを採用に応用するとはどういうことなのかについて解説します。

採用における“ブランディング”とは?

そもそも「ブランド(brand)」という言葉の由来は、家畜の識別などに用いた「焼印を押す(burned)」にあると言われています。遠目には同じに見える家畜を区別するために、自身のものであることを示すための「焼印」を付けていた歴史から、「識別するためのしるし」という意味を持つようになりました。

商品や会社の希少性、信頼性を認知してもらうための証を作り上げるために必要な考え方が「ブランディング」と言えるでしょう。

そして、これまで「商品・サービス」と「企業」の領域で語られてきた「ブランド」を、「採用」の領域において活用する考えを「採用ブランディング」と呼びます。

具体的には、「自社の理念・価値観をベースに、その時点での企業としての方向性を踏まえた上で一貫したコンセプトを築き、それを採用市場におけるすべての応募者との接点において伝達していくこと」です。それにより、自社独自のイメージを求職者に醸成させることを目指します。

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ゴールは「この会社で働きたい」と感じてもらうこと

少子化をはじめとした様々な原因による労働人口の減少や、働くことに対する求職者の価値観の変化などによる人材の流動化の進行といったことを背景に、採用競争は激しさを増しています。

そうした中で人材採用を成功させるには、多く企業の中から自社に興味を持ってもらい、かつ働きたいと感じてもらう必要があります。そのためには、募集要項や応募条件といった通り一遍の情報だけでなく、自社の理念や文化、社員の想いなどをアピールし、働く場としての魅力を伝え、最終的に求職者に「この会社で働きたい」と感じてもらうことが不可欠です。

そのため、独自のポジションを確立し、自社のファンを創出していくという「採用ブランディング」の考え方が必要になってきます。

「採用ブランディング」の方法

「採用ブランディング」の第一歩は、他社の状況や業界動向に関わらず、自分たちの「強み」で採用の効果を上げることを目指します。「強み」を打ち出すことの効果は、自社にマッチし、入社後の活躍が見込める「活躍人材予備軍」が集まることです。

「強み」の発見には社内でのワークショップなどが有効です。「自分や周りがなぜ自社に入社したのか?」「入社してからの“いい意味での”ギャップは?」「自社の文化を表すエピソードはなにか?」といった項目について、様々な意見を集め、整理をしましょう。

次に、求める人材の「ペルソナ」を作ります。抽象的な人材要件だけでなく、「どんな人」かという具体的な採用したい人材のイメージ(ペルソナ)が必要です。ペルソナが定まったら、その人物が仕事選びの際に大切していること「インサイト」を丁寧に掘り下げます。「グローバルに働きたい」「時間帯や場所など自由な働き方を選択したい」など、その人物になりきって考えましょう。

最後に、自社の「強み」と「インサイト」を掛け合わせることで、採用活動の「コンセプト」が生まれます。これがあることで、社内での採用におけるスタンスに一貫性が生まれます。この一貫した採用施策こそが、採用における「ブランディング」となります。

「採用ブランディング」のメリット

「採用ブランディング」には以下のような効果が期待できます。

・即時性
一般的に、企業やサービスにおける「ブランディング」は時間をかけてイメージを作り上げていくものと考えられています。しかし採用の現場では数週間〜数カ月間というサイクルで行われることも多く、半年〜1年といった短期間で効果をが得られるケースもあります。

・明確性
前述のように「採用ブランディング」において求職者に伝達されるメッセージは「理念と価値観」がベースとなっているため、それらに共感した求職者、つまり、より自社とのマッチ度の高い人たちが集まりやすくなることが期待できます。

・知名度で劣っていても採用競争に勝てる
自社の理念や価値観を整理し、ターゲットにピンポイントでアプローチすることで、上記のようにマッチングの精度が高くなるため、競合に知名度が劣っていても、自社を選んでもらえる可能性が高まります。

「採用ブランディング」における注意点

・企業ブランディングとの相違
採用ブランドは基本的には企業ブランドの一部であるため、相違点が出ることはそれほど多くはありません。ただ、例えば、事業においては「優しい」イメージを訴求したいが、採用においては「アグレッシブさ」を打ち出したい場合など、まれにギャップが生まれる場合があります。その場合、発信のための媒体や人が、異なる方向性のメッセージを打ち出すことのないように、それぞれの発信の目的に応じて内容を整理する必要があります。

 

監修:株式会社 人材研究所

 
 

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